終わりの始まり The beginning of the end
マドレーヌは若い女性でした。
その日は空を厚い雲が覆い、昼間も薄暗い日でした。
買い物に行くのか、仕事に行くのか分かりませんでしたが、町の中を歩いていました。
電話ボックスの横を通りかかると電話が鳴り始めました。
近くにはマドレーヌ以外の人がいなかったので、マドレーヌは電話に出てみることにしました。
マドレーヌが電話をとり、耳に近づけると男の声がしました。
「港に行け」と男は言い、電話が切れました。
マドレーヌは港に行くことにしました。
港は閑散としていました。漁船はみんな海に出てしまっていて、市場も閉まっていました。
近くにあった電話ボックスがまたマドレーヌを呼びました。
マドレーヌが電話をとると、また男の声がしました。
「後ろだ」と男は言って電話が切れました。
マドレーヌが振り返ると遠くから男が歩いてくるのが見えました。
マドレーヌは電話ボックスを出て、歩いてくる男を見つめていました。
その男が誰かは分かりませんでしたが、どこかで会ったことがあるような気がしました。
だんだんと男が近づいてくると男が何か言っているのが分かりました。
「戦争が始まる」
男の口がそう動いているのが分かりました。
いつの間に入ってきたのか、男の背後に大きな船が泊まっているのが見えました。