鯨との戦い A struggle against a whale
マドレーヌには妹がいました。
ある日、マドレーヌと妹は海で泳いでいました。
その日はとても暑くて、海で泳ぐのは気持ちのよいことでした。
妹がマドレーヌを呼びました。
妹は、母親が海岸からマドレーヌたちを呼んでいると言いました。
二人で海岸に向かって泳ごうとした時、妹が海の中に沈みました。
マドレーヌはとっさに妹の手を掴みました。
妹と一緒にどんどん海の底に引き摺り込まれていきます。
海の中で必死に目を開けてみると、大きな鯨が妹の足を咥えて泳いでいました。
マドレーヌはなんとか鯨にしがみつき、妹の手を離しました。
「妹を離せ」声にならない叫びを上げながら、マドレーヌは何度もこぶしで鯨を殴りました。
息が苦しくなっても、構わず殴り続けました。
いつのまにかマドレーヌの体は鯨と同じくらい大きくなっていました。
マドレーヌは鯨の口を両手で掴んで開かせました。
鯨が妹を離すと、マドレーヌは妹の手を引いて、とにかく上へ泳ぎました。
海面から顔を出して、妹に息をさせました。
妹は無事でした。
マドレーヌはほっとしました。
マドレーヌの体は元通り小さくなっていました。
二人は母親の待つ海岸に向かいました。